生産台数100万台を超えるフォルクスワーゲンのカブリオレモデル
フォルクスワーゲン カブリオレモデルの歴史のスタートは、1950年に登場した初代Beetleの豪華グレードとして作られたBeetle Cabriolet。
2,000万台以上の生産台数を記録したBeetleの中で、カブリオレモデルが占める約33万台という数字は2%にもなりませんが、それはBeetleが大ヒットモデルであるが故のこと。カブリオレのみでこれだけの台数が生産されたクルマは多くありませんでした。
当時は安価で経済的な大衆車という認識だったBeetleの中で、カブリオレモデルは新しいライフスタイルを実現する上級モデルとして人気を集め、ロングセラーとなりました。
その後、1974年にBeetleの後継となるGolf登場にともない、1980年にはGolfのカブリオレモデル・Golf Cabrioがデビュー(当初の車名は“Cabrio”でしたが、後に“Cabriolet”に変更)。
当時としては斬新な直線基調のデザインでありながら、折り畳んだ幌を背負うような独特のスタイルを継承したことで、Beetle Cabrioletを彷彿させるクラシカルな雰囲気を残していました。また、高まる安全への要望に応えたロールオーバーバー(前席と後席の間に設置された乗員保護用のバー)や、ルーフを切り取った分の強度不足を補うために各部に補強材を組み込むなど、徹底したオープンカー対策が施され、ハッチバックモデル同様に人気を集めました。
そして、1993年にカブリオレとしては2代目となるモデルがデビュー(ベースは第3世代Golf)。その後、フロントフェイスの変更などを行い、第4世代Golfと同時期まで生産を続け、初代Golf Cabrioから通算70万台以上も作られました。
4人乗りでのオープンエアーがフォルクスワーゲン流
2003年には待望のNew Beetle Cabrioletがデビュー。New Beetle以上にクラシカルな雰囲気を持つ独特なデザインと便利な電動ルーフ、そして、ロールオーバーバーの代わりにロールオーバープロテクションを装備するなど、カブリオレの開放感と安全性を両立させたことで大人気のカブリオレモデルとなりました。
そして、2006年にはカブリオレクーペ・Eosが登場します。Eosはフォルクスワーゲン初のハードトップを備えたカブリオレというだけでなく、世界でも初の5分割式の電動ハードトップを採用。クーペとカブリオレというスタイルだけでなく、ガラスルーフ、スライディングルーフ、さらにはチルト機構まで備えた画期的なモデル。フォルクスワーゲンのカブリオレの系譜に新しい1ページを記しました。
こうして、歴代のカブリオレを並べてみると、オープンエアーの楽しさやスタイリッシュなデザインと同時に、4人が十分に座ることができ、実用性も高いことが、フォルクスワーゲンのカブリオレの特徴であることが良くわかります。
希有な運命を持つカブリオレモデルたち
販売台数100万台以上の輝かしい実績を誇るカブリオレモデルですが、そうした歴史の陰に隠れた悲運の名車についても少しだけ触れておきましょう。
Beetle Cabrioletと同時期に生産されたヘッブミューラーは、Beetleをベースにヘッブミューラー社がデザイン・製作を行った2シーターのカブリオレ。Beetle Cabrioletよりも流麗なデザインを持ち、高い評価を得ていましたが、1949年に工場が火災を起こし、わずか696台のみが生産されただけで姿を消してしまいました。
そしてもう一台は、乗用車ではなく軍用車として作られたシュビムワーゲン(ドイツ語で泳ぐクルマの意味)。これはBeetleの前身となるKdFというクルマをベースに作られた水陸両用車。水中を進むためのスクリューは、走行時は持ち上げられ、ボディサイドにはシャベルやオールが装備されていました。1942〜1945年までに1万5000台以上が生産され、いみじくもポルシェ博士が設計したBeetleの性能の高さを、過酷な戦場で証明することとなりました。
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